NEDO+
実用化ドキュメントタイトル図

WHILL株式会社

乗ってみたくなる“パーソナルモビリティ”

車いすの写真

NEDOの役割

「イノベーション実用化ベンチャー支援事業」/「課題解決型福祉用具実用化開発支援事業」他

 高齢化の急速な進展等を背景に、障害者や高齢者にやさしい社会の実現のため、福祉用具開発への期待が高まっています。
 NEDOは、より社会のニーズに沿った福祉用具の実用化を後押しするため、課題解決型福祉用具実用化開発支援事業を行っています。助成対象を選定する際は(1)新規性・研究開発要素を持っていること(2)利用者ニーズに適合するものであること(3)具体的な効用が期待され、一定の市場規模を持ちユーザーにとっても経済的に優れていることを支援の前提に、公正に支援企業を決定しています。
 また、採択された企業に対しては、開発状況を確認するとともに、展示会への開発品の出展も支援するなど、ビジネスマッチングを後押ししながら、市場の声やユーザーニーズを踏まえた支援をしています。
 WHILL(株)は、本事業にて研究開発を行い、軽量で走破性に優れる電動車いすの前輪とモーターを開発しました。

目的、課題、実現の図

 従来の電動車いすは、ちょっとした段差や砂利道のような悪路が苦手で、小回りもききませんでした。また、車いすの利用そのものに抵抗を感じる人も少なくありませんでした。本事業では、そうした常識を覆す、スタイリッシュで機能性にも富んだ、新型電動車いす「WHILL」を実用化・事業化しました。

最適な「オムニホイール」を生み出す

 従来の電動車いすは、狭い場所での方向転換が難しく、例えばエレベーターには後ろ向きに乗る必要がありました。それは恐怖感もあり、危険も伴います。しかし、独自の「オムニホイール(全方位タイヤ)」を装着した「WHILL」なら、ほぼその場で方向転換が可能です。「WHILL」を開発したのはベンチャー企業である WHILL(株)です。「100m先のコンビニに行くのをあきらめる」という車いすユーザーの声を耳にして、新発想の電動車いすの実用化・事業化を目指していました。同社ではNEDO事業の支援を受けて開発に取り組み、24個のサブタイヤが進行方向と垂直にリング状に並べられた独自の構造を生み出しました。メインとサブのタイヤが前後左右の2軸に回転して自由な方向転換が可能になり、4輪駆動のパワーを加えることによって、段差や悪路を乗り越えるトルクも実現しました。2014 年9月に商用第1号となる「WHILL Model A」を発売、その秀逸なアイデアと美しい形状は、2015年度グッドデザイン大賞を受賞しています。

分解でき、軽量の普及版を開発

 「Model A」は高い評価を得ましたが、利用者から、「分解してタクシーに乗せたい」という声がありました。WHILL(株)はこれに着目し、引き続きNEDO事業にて、スタンダードタイプ「Model C」の開発に取りかかりました。特に「分解してタクシーに乗せたい」という声に着目。モーター、バッテリーなど「Model A」の構造を根本的に見直すことにしました。今回もNEDO事業の支援を受け、コンパクト化かつ低コスト化へ向けてボディを鉄からアルミ主体に切り替え、2輪駆動でも十分な性能が発揮できるように後輪に小型モーターを組み込む設計に更新しました。また、据え付け型鉛電池のバッテリーを交換可能なリチウムイオン電池としました。どちらも大手メーカーの協力を得て専用製品を開発、調達したものです。さらに、新規開発のきっかけとなった分解・組み立てについても、力の弱い人でもレバーだけで容易に3つのパーツに分けられ、かつ簡単に組み立てができるようになりました。軽量化の結果、全重量約52kgと「Model A」の半分以下に、デザイン面でも6色のカラーバリエーションを用意、販売価格も半額以下となりました。「Model C」の発表は2017年4月、先代の改良というよりは、全く新しい製品となりました。各モデル合わせて「WHILL」は世界で累計1,000台以上が出荷され、順調にその数字を伸ばしています。
(取材:2017年11月)

分解組み立てを行うModelC
分解組み立てを行うModelC

「NEDO実用化ドキュメント」は、プロジェクトに携わった企業等にインタビューを行い、ウェブサイトで紹介。これまでに100件以上の記事を公開しています。